ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

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3月上旬からスバールバル諸島のニーオルスン(ノルウェー)で開始したエアロゾル・雲の集中観測キャンペーンArctic Clouds, Aerosols, and Radiation Experiment 2017(Arctic-CARE 2017)ですが、早いもので残り数日となりました。現在は撤収作業を始めています。

ArCS研究テーマ1及び研究テーマ7の研究グループにより、北極域研究共同推進拠点と共催にて、北極海航路に関する最新研究成果を紹介する公開セミナーが3月10日に都内で開催されました。セミナーの目的は、北極海の利用や保全をめぐる国際関係、北極圏における資源開発の動向、北極海航路の利用に向けた海氷・波浪・海運に関する研究成果を、北極に関心を持つ産官学界の関係者にむけて紹介し、今後の研究課題と展望について、広い視点から議論することです。セミナーは3部構成とし、第1部では北極に関わる世界の政治・資源開発・海運における動向を総括、第2部は北極海航路に関する自然科学・工学研究の成果を紹介、第3部ではこれらの研究を通じ、北極研究の課題、今後の取り組みに関する総合的な展望について、発表が行われました。

北極圏海鳥専門家グループ年次会合(The Circumpolar Seabird Expert Group Annual Meeting)の第21回会合がデンマークの自治領であるフェロー諸島の首都トースハウンで3月7日〜9日まで開催されました。本グループは北極圏植物相・動物相保存作業部会(CAFF: Conservation of Arctic Flora and Fauna)のもとに1993年に設置された海鳥の調査・保全に関わる専門家グループで、CBird Groupという略称で呼ばれています。カナダ、デンマーク(フェロー諸島およびグリーンランドを含む)、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、米国のAC国に加え、英国、オランダ、日本のオブザーバー国から海鳥類の研究者・保全に関わる専門家計22名が参加しました。日本がCBird Groupに参加するのは今回が初めてです。

エアロゾル・雲の集中観測キャンペーンArctic Clouds, Aerosols, and Radiation Experiment 2017(Arctic-CARE 2017)を、スバールバル諸島のニーオルスン(ノルウェー)にて3月上旬から開始しました。温暖化が急速に進行している北極域において、温室効果気体に加え、大気中に浮遊する微粒子であるエアロゾルや雲がどのような役割を果たしているか、明らかにする必要があります。本観測キャンペーンでは、ニーオルスンのゼッペリン山観測所(標高474m)において、国立極地研究所・東京大学・ウエストテキサスA&M大学の研究グループがこのエアロゾル・雲をターゲットに観測を行います。

2017年2月1-3日に、ワシントンDCのジョージタウン大学にて開催された北極の海氷減少に伴う中緯度気候への影響に関する研究についてのワークショップ(2017 Arctic change & its influence on mid-latitude Climate & weather)に参加してきました。この会議では、ユーラシア大陸や北アメリカで頻発している冬季の寒冷化に対して、北極海の海氷減少が影響を及ぼす可能性について、科学者間のコンセンサスを得ることを主な目的として開催されました。大気モデルによる北極海の海氷感度実験の結果は、モデル間で多くのばらつきがあることから、北極の海氷減少以外の他の要因やモデル実験の設定等に関する議論がなされていました。