ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

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北極圏海鳥専門家グループ(CBird Group)は北極圏動植物相保存作業部会CAFFの専門家グループとして、北極圏で行われている海鳥の研究や保全に関する情報交換やコーディネーションを目的とした会合を毎年行っています。今回の会合において、私は日本が太平洋側北極(セントローレンス島)で行っている5種の海鳥の渡り経路追跡の予備的結果を発表しました。

今回はアメリカが議長国となって2回目の会合でした。会議はアラスカのフェアバンクスからバスで1時間ほど離れたChena Hot Springs Resortで行われました。通常は先住民のコミュニティでの実施ですが、今回初めてリゾート地での実施となりました。バスで移動する際に5頭のムースを見ることができ、生物好きのメンバーにとっては、良いスタートとなりました。

AMAP Short-lived Climate Forcers Expert Group (SLCF EG)のSLCFに関する評価報告書を取りまとめるための会議が1月29-31日フィンランドのヘルシンキで開かれました。約15か国から40名近い参加者がありました。

SLCF評価報告書の内容として、日本としてブラックカーボンの高精度測定および気候モデルにより貢献することを講演し、多くの参加者からの理解を得ました。この観測には、これまで行われてきたニーオルスンに加え、アラスカのバロー、ロシアのバラノバ、カナダのアラートも含まれます。BC観測を国際共同研究として行っている点で、好感をもって受け止められました。またこの貢献に対する期待も大きいと思います。

2017年3月7日(火)第1回若手研究者派遣成果発表会が、ArCS全体会合の直後に開催されました。今回の成果発表会には、田原成美さん(大阪府立大学)、中野渡拓也さん(国立極地研究所)、大嶋亮造さん(株式会社商船三井)そして私(神戸大学)の4名が参加しました。残念ながら発表会に参加できなかった喜岡新さん(インスブルック大学)は、全体会合のポスターセッションでの参加となりました。

1月8日(月・成人の日)に、日本科学未来館(東京お台場)の常設展の一角にて、サイエンティスト・クエスト特別編「どうなる?北極~海と生き物と私たち~」を開催いたしました。「北極の氷が解けたら、〇〇になる?」を共通の問いとして、テーマ4から「北極の海と氷と小さな生き物」、テーマ6から「ミズナギドリの渡り」、テーマ7から「北極海の氷が減ると?~〇〇が変わる」の3つの講演を各2回ずつ実施しました。

ArCSの若手研究者海外派遣支援事業の助成を受け、2016年9月1日から2017年5月31日の9か月の間、米国オハイオ州立大学のバード極地研究所に滞在し北極海の古海洋研究を行いました。バード極地研究所には北極海から採取された堆積物が保管されており、北極海の古海洋研究をする上で非常に恵まれた環境でした。

2018年2月5日(月)に「第一回北極に関する政府と研究者との懇談会」が開催されました。

この懇談会は、テーマ7専門家派遣メニューが共同で開催した「北極評議会WG等に関する意見交換会」(2017年10月19日(木)実施)に、井出北極大使、文部科学省などの関係者にご参加いただいたことをきっかけに実現したものです。研究者側はArCS参加研究者を中心に約30名、政府側からは北極大使、羽尾内閣府総合海洋政策推進事務局長、文部科学省関係者などから約20名の出席がありました。

ArCSの「北極関連会合専門家派遣」と「国際共同研究推進:テーマ7」の成果として、2017年5月北極評議会(Arctic Council:AC)の下で交渉され成立した国際条約、北極科学協力協定の意義を分かりやすく解説する記事が公表されました。北極8ヶ国、すなわちカナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン、米国の外務大臣が署名して成立した「北極に関する国際科学協力の促進に関する協定」(北極科学協力協定)は、地理的には北極域全体を一体としてカバーし、機能的には北極に関するすべての科学活動を対象にして、国際的な科学協力を促進するための新条約です。ACをフォーラムとして交渉され妥結した条約はこれで3つ目となります。ACの条約形成フォーラムとしての活用が今後も注目されます。