ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

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2017年1月4日から4か月間、ArCS若手研究者海外派遣支援事業の派遣者として、カナダのトロント大学に4ヶ月間滞在しました。私は、冬季の北極成層圏で発生する成層圏突然昇温という力学現象を対象として研究を行なっております。この現象は、数日のうちに極域成層圏の気温が数十度も上昇し、対流圏の気流の流れにも影響を及ぼしうる極端現象です。受け入れ研究者であるPaul Kushner教授は、成層圏力学の分野において著名な方です。本事業の支援があったからこそ、私は博士後期課程在学中の学生ながら、そのような海外の著名な研究者のもとで研究を行う機会を得る事ができました。このことについて深く感謝申し上げるとともに、このような素晴らしい事業がより多くの人に認知され、活用される事を願っております。

2017年3月22日から4月21日の約一ヶ月間、ロシア連邦サハ共和国ヤクーツクのロシア科学アカデミーシベリア支部北方圏生物問題研究所(IBPC)を訪問しました。サハ共和国の沿岸部では、近年ホッキョクグマの摂餌生態(行動圏や食性)が変化していることを示唆する情報が得られていますが、その実態や発生要因は明らかとなっていません。そこで私は、IBPCとの共同研究課題として、本地域に分布するホッキョクグマの摂餌生態に関する研究に取り組もうと考えています。今回の訪問の目的は、今後の研究・調査の体制を整えること、そして実際に一回目の野外調査を実施し、食性解析のためのホッキョクグマの糞を採集することでした。

2017年12月11日から12日にかけて、北海道大学百年記念会館でArCSテーマ7の主催する国際シンポジウム『北極域の環境・開発・国際関係』(International Symposium on Environment, Development and International Relations in the Arctic)が開かれました。本シンポジウムは、ArCSテーマ7「北極の人間と社会:持続的発展の可能性」の推進する研究事業の三本の柱:1)北極域の経済開発、2)環境と人間のインタラクション、3)北極域のガバナンスの各トピックについて最新の研究成果の発表及び議論を行い、北極域の現状と課題についての理解向上の一助とすることを目的としたものです。

神戸大学極域協力研究センター(PCRC)は、2017年12月7日から9日までの3日間、国際シンポジウム「北極法秩序形成における非北極国/アクターの貢献」を開催しました。PCRCは、北極における国際法政策課題を研究すべく、2015年10月に設立され、同年12月には北極国際法秩序の現状を俯瞰するシンポジウム(リンク先:英語ページ)、2016年7月には北極海における法秩序形成を論じる第2回シンポジウム(リンク先:英語ページ)を開催しました。

1月21~26日にかけ、ノルウェー・トロムソでArctic Frontiers 2018が開催されました。Arctic Frontiersはトロムソで毎年行われる国際会議で、北欧を中心に各国から政策決定者、ビジネス関係者、研究者が集まり、北極における持続可能性について議論を行います。今年は”Connecting the Arctic”をテーマとし、北極の社会を他の地域とどう結ぶかという問いをめぐる議論が展開されました。特にテレコミュニケーションにおける最新技術や、北極海航路の利用といったトピックは複数のセッションで盛んに取り上げられました。

2018年1月9〜11日にシアトルにて開催された標記ワークショップにオブザーバーとして参加してきました。「北極評議会」の加盟国を中心とする8カ国から約60人が集まり、北極域生態系管理の指針となる「生態系アプローチ(EA)」のあり方についての検討を行いました。

私は、2017年3月20日~2018年2月1日の予定で、ArCS若手研究者派遣事業の支援を受けて、デンマーク王国・オールボー大学北極研究グループ(AAU-CIRCLA: Centre for Innovation and Research in Culture and Living in the Arctic ※英語ページ)に滞在しています(写真1、2、3)。