ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

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平成30年度プロジェクト全体会合をJAMSTEC横浜研究所 三好記念講堂ならびにホワイエにて開催し、ArCS関係者など約100名が参加しました。 

今回の全体会合は2018年5月9日(水)と10日(木)の2日間にわたって開催され、1日目には、各実施メニューのPIが前年度の活動・成果の発表と今年度の実施計画の説明を行いました。

北極域研究推進プロジェクトArCSは、日本が北極問題の解決に科学をもって貢献し、日本の北極政策の骨子である「北極域での秩序ある持続可能な発展に日本が主導力を発揮する」ことへの裏付けを用意するために、国際共同研究の推進、北極域における研究・観測拠点の整備、若手研究者および専門家の北極関連研究機関あるいは会議への派遣という3つの柱から成っています。特に、国際共同研究の推進には、自然科学だけではなく、今後起こり得る自然環境の変化が世界の経済や北極域住民に与えるインパクトを研究するべく、人文・社会科学も含まれています。

ここまで4日連続で順調にサンプリングできたので、もともと予備日に当てられていた今日はフリータイムになりました。北緯62度のサルイットの「日の出」を見たくて朝4時に早起きしたのですが、あいにくの曇り空で小雨も降ってきて、折からの南西風に吹かれた雨粒は、ソロモン諸島から来た私には氷のように冷たく感じられました。急いでジャケットの袖を下ろそうとしたら、足元の草が動きました。

サルイットの地図と空中写真を見ながら、サルイット谷のほぼ中央に沿って流れる川のあることに気づきました。地衣類は、光と水があって、固い基物表面があれば、どこにでも生えることができます。たとえば川岸の岩などがそういう場所で、そういう所には面白い地衣類がいるのではないかと期待してしまいます。それを確かめるにはまず行くことです、百聞は一見にしかず。

サルイット・リサーチ・ステーションから北東の海岸のほうに延びる道を歩きつつ、向かい風(北東風)のそよ風を受けてリフレッシュできました。石ころがちな道にかぶさるようにちょっとした斜面があり、その下半分ほどは草が繁茂する草原でした。

サルイットはツンドラの地で、どんな特徴があるかというと、まず永久凍土、そして、一日中明るいけど短い夏、それに対して一日中暗い「極夜」の長い冬、年間を通してそう多くない降水量、強風、冬の吹雪、途切れがちな植生、それに影響する不安定な湿った土壌と、その原因となる永久凍土の凍結・融解などです。

この度、広島大学大学院生物圏科学研究科のソロモン諸島からの留学生、メリーさんが、ArCSのカナダ亜北極サルイット調査に同行させて頂きましたので、「南の島」の留学生による新鮮や印象や驚きなどを綴ってもらいます。和訳は私が頑張ります、どうぞ宜しくお願い致します〔広島大学 長沼毅〕。

本年の北極サークルでは10月14日にJapan Night(日本主催のパーティーイベント)が行われました。それに先立って、同じ会場でより学術的なJapan Sessionを17:30から19:00にわたって開催されました。テーマはThe Arctic as the Field of SDGsとし、科学的研究が持つ北極域の持続的発展への貢献を議論しました。セッションは小職の解題と井出北極大使の挨拶に続いて、自然環境全般の予測に関して羽角教授が、社会経済の側面から北極航路活用について大塚教授が、自然環境の変化と先住民の生活様式の変化について高倉教授がそれぞれまとめを行いました。それを受けてLarry Hinzman教授(University of Alaska, Fairbanks, UAF)とICE-ARCコーディネーターのJeremy Wilkinson教授(British Antarctic Survey, BAS)がArCSを中心とする日本の北極研究についてコメントし、参加者からの質問、議論の時間を持ちました。

北極評議会PAMEワーキンググループの2018年第1回総会が、カナダのケベック市で開催されました。PAMEは毎年2回のWG総会を開始しており、毎年1~2月に開催される第1回目では、その後に開催されるSAOへの活動報告を中心に、専門家グループが進める複数のプロジェクトの進捗、新規プロジェクト提案、関連WGとの連携、IMOやUNなど外部関連機関との連携状況等について審議、情報共有を図っています。