ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

グリーンランド北西部フィヨルドでの海洋調査

2013年から始まり、今年で5度目となるボードインフィヨルドでの海洋調査を行いました。

このボードインフィヨルドには、末端幅3キロのボードイン氷河が流入しており、厚さ数百メートルの氷が常に海水と接しています。海洋の熱が氷河の末端融解にどれだけ寄与しているか、また逆に、氷河の融け水が海洋の物質循環、生物の生育環境にどのような影響を与えているかを理解するためには、氷河と海洋の境界域での観測が必要不可欠です。2017年は、氷河と海洋の境界域での観測を最重要課題として位置づけ、氷河の末端1キロまで近づいて、フィヨルドにおける遠隔操舵船ROV (Remotely Operated Vehicle)を用いた動物プランクトンのサンプリングと、水温・塩分・圧力計および、流向・流速計からなる係留系の設置、化学成分分析用の海水のサンプリング等を行いました。また、昨年の夏にボードインフィヨルドに係留した測器の回収にも成功し、フィヨルドに流出入する暖水の流量変化を1年間にわたって記録することができました。今後これらのデータを解析・統合することにより、氷河と海洋間の相互作用に関する新知見が期待されます。

漢那 直也(北海道大学/テーマ2実施担当者)


カナック村住民の協力を得て、小型ボートで海洋観測を実施。


氷河前のフィヨルドで遠隔操舵船を操作する研究者。


係留系の設置風景。奥に見えているのがボードイン氷河の末端部分。


採取した海水サンプルの前処理風景。