ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

スピッツベルゲン島での野外調査

私は現在、ArCS 若手研究者派遣事業の支援を得て、極域の研究を専門に行うオランダ北部のフローニンゲン大学のArctic Centre に留学しています。30年近くに渡って北極域の渡り鳥の研究を行っている Maarten Loonen 博士の研究室に籍をいただき、共同研究を進めているところです。そしてこの夏、Loonen博士率いるオランダの調査隊に同行させていただき、北緯79度を誇るノルウェー領のスバールバル諸島にあるニーオルスン基地に2ヶ月もの期間に渡って滞在しました。

ニーオスルン基地はノルウェーを始めオランダや日本を含む12ヵ国の研究拠点が集中するほか、世界中の研究者が研究に訪れる、極域研究の聖地とも呼べる場所です。スバールバル諸島で過去に行われた、今まさに行われている、あるいはこれから行われる全ての研究計画および成果が登録されているResearch in Svalbard(RiS)というウェブサイトによると、8月30日現在も、874人もの研究者が関わり、189もの研究プロジェクトが行われているとのことです。滞在した感覚としても、極めて国際的で、国家間の垣根のない、非常に快適な研究環境が整っていたと思います。私自身も、オランダを始め、日本、ノルウェー、ドイツ、スイス、フランス、イタリア、中国、インドなど、様々な国の研究者と新たに知り合うことができ、ついにはドイツやスイスの研究者との共同研究の話まで持ち上がるほどでした。

私が行った研究については当初の計画から多少の変更はあったものの、重要な成果を上げることができたと考えています。加えて、計画に問題が生じた際に行うつもりで用意していた代替研究や、現地での発見を元にした研究をも行うことができ、合計で3つもの研究プロジェクトを遂行することができ、非常に実りのある2ヶ月間を送ることができたと思います。これまでに私が行った海外における野外調査の経験から、見知らぬ土地で短期間の間に成果を上げることは極めて難易度の高いことであると感じており、たったひと夏で学術論文3本分にもなりうる結果を得られるとは思いも寄りませんでした。極めて生産性の高い2ヶ月間であったと言えるでしょう。とは言え、いずれも研究試料を採集した段階であり、研究としては始まったばかりです。残された4ヶ月間のオランダでの留学期間を精一杯活用して、オランダやドイツの共同研究者と共に実験や議論を重ね、いずれは学術論文として公表することを目標に着実に成果を得ていきたいと思います。なお、オランダ、およびスピッツベルゲン島における滞在の出来事の一部は、下記のウェブサイトに記載されています。特に Loonen 博士によるスピッツベルゲン島での日常を記した記事(The Netherlands Arctic Station)には、島での研究の様子が丁寧に書かれています。Loonen 博士は、フローニンゲン大学の公式ウェブサイトにある GIA Newsletter にも、私の研究を記事にして紹介してくださいましたので、是非ご覧いただきたいと思います。

Research in Svalbard Database

The Netherlands Arctic Station

GIA Newsletter

森井 悠太(北海道大学)


交流を深めた日本の調査隊との記念撮影


調査地に現れたシロクマ