ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

グリーンランド北西部カナック氷帽と流出河川での調査

グリーンランド北西部に位置するカナック村を拠点として観測活動を行っています。私を含む北海道大学の3名が、先発隊として7月4日に現地に到着しました。到着時に村の前を覆っていた海氷は日々姿を消し、現在はいくつかの氷山が残るのみとなりました。海氷が消失したことで大型の輸送船が村に寄港できるようになり、冬・春を経て品薄になっていたスーパーマーケットに物資が運び込まれています。開水面に浮かぶ船に、夏の訪れを感じます。

今夏の観測テーマの一つは、氷河から流水する河川の洪水です。2015年と2016年の夏にカナック村の北側に位置するカナック氷河からの流出河川が急激に増水し、村とカナック空港を結ぶ道路を崩壊させました。この洪水の原因を解明するために、氷河の融解水や降雨が河川に流出するメカニズムの解明を目指しています。

到着後すぐに、カナック氷河上に気象測器や自動連続撮影カメラを設置しました。これにより、氷河上での気象条件や雪氷の融解量を記録することができます。また2012年から継続している表面質量収支と流動速度の観測も行いました。夏季の氷河変化を詳細に知るために氷河へ頻繁に足を運び、積雪断面や氷河表面状態の変化を記録します。

氷河上での観測と平行して、氷河の流出河川の観測も行っています。7月上旬の現在では氷河からの融解水が少ないため河川流量も少ない状態ですが、夏季の進行とともに今後どのように流量が変化していくのか、注意深く観測を続けます。

今後は後発隊として海洋観測を行うメンバーとカナック村で合流し、8月下旬にかけて海洋観測を行います。今夏はどのようなデータを取得できるのか、とても楽しみです。

近藤 研(北海道大学)


カナック村に到着した輸送船


カナック氷河に気象測器を設置しています


氷河流出河川の観測