ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

平成30年度若手研究者海外派遣報告:ノボシビルスクでの研究と生活

今回、2018年2月から約1年間、ノボシビルスク国立大学にてシベリア先住民の研究をしました。

1. 研究について

刻々と進む環境変化は、大きな経済・政治的変化を引き起こします。これらの変化に、私たちはどういう姿勢で向き合うべきなのか。日常生活の実践を通して、持続可能な開発に資するためにはどうすればいいのか。この問いを考えるにあたり、土地や資源利用に対して独自の権利を有する先住民の人々の実践や視点は、新たな価値観を示すことができるという意味で、大変重要です。今回の調査で私は、ロシア連邦内各地の先住民が、企業や行政との摩擦において、どのように合意を形成するのかという点(意思決定のシステム)を明らかにすることを目的に研究を行いました。

今回は、滞在先であるノボシビルスク国立大学を拠点に、ロシア連邦各地の先住民のコミュニティでデータを集めることができました。受入教員であるBaulo Arkady先生やロシア科学アカデミーの先生方からご指導いただき、連邦内各地の先住民コミュニティと繋がりを得ることができました。フィールドワークは、基本的には単独での行動が中心でしたが、先生方が熱心なフォローをしてくださったため、心強さを実感しながら調査を進めることができました。

今回の調査により、ロシア連邦内のシベリア先住民の意思決定システムの地域的な違いが明らかになってきました。今後は、その違いを示すための図の作成を進め、比較研究に向けた資料に仕上げていく予定です。

2. ノボシビルスクでの生活 ー寒さを楽しむ

ノボシビルスクは人口100万人を超えるシベリアの大都市で、東西南北を結ぶ交通の要衝でもあります。気候は、夏と冬の気温差が大きい大陸性気候です。現地の人に言わせると、冬は約半年間続くとのこと。通常、10月頃から雪が降り始めますが、私が滞在した年は珍しく11月から降り積もり始めるという遅いスタートでした。

寒い地域には寒いなりの楽しみ方があります。研究の合間、辺り一面凍ったオビ川の上を4時間かけて散歩しました。他にも、至る所に建てられた雪の滑り台で遊んだり、バーニャ(サウナ)後の火照った身体に雪をかけて冷やしたり。ノボシビルスクの雪はパウダースノーで、光が反射して輝くので、朝から夜まで、輝く雪の絨毯の上を歩いているような気分になります。こうした寒さを楽しむ経験は、今回、私の研究にとって重要な存在であるシベリア先住民の人々の生活と、どこかでつながっているはずです。

このような大変貴重な経験と研究の機会を与えてくださった、研究室のメンバー、及び、ArCSの皆さまに深く感謝いたします。

是澤 櫻子(東北大学)


凍ったオビ川の上を散歩


大学内で見かけたリス