ArCS 北極域研究推進プロジェクト

ArCS通信

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ArCS若手研究者海外派遣事業のご支援を受け、2018年10月16日から11月30日までの間、ドイツのMax-Planck institute for Meteorology (以下MPI-M)に滞在しました。私は新潟大学の大気海洋システム研究室に所属し、対流圏と成層圏の境界である対流圏界面の変動について研究しています。対流圏界面の変動は気候変動の指標となり、温暖化の傾向を示すことが知られています。一方で北極域では全球平均と比べて著しい速度で温暖化が進んでいることがこれまで明らかとなっています。本派遣では北極域の対流圏界面変動の実態、またその要因について温暖化あるいは内部変動との関係を明らかにすることを目標としました。派遣先であるMPI-Mはドイツ・ハンブルクに位置し、約200名の大気・海洋・陸面の研究者が在籍しています。受入研究者であるElisa Manzini博士を中心に、様々な分野の研究者の方々と多角的な意見交換を行ってきました。特に派遣期間中頃に行われたセミナーにて初期解析の結果と今後の研究方針について発表させていただいた際には、多くの海洋学者の方々にもご参加頂き新たなテーマの発見へとつながるアドバイスをいただきました。他にも研究所内で行われるワークショップや各分野のセミナー、研究所全体の今後の方針について全員参加で議論するretreat に参加させていただき、大学とは異なる研究機関での研究生活を体験できました。

12月10日(月)から12月14日(木)までの5日間にかけて、ワシントンD.C.(アメリカ)にて開催されたAGU Fall Meeting 2018に参加しました。期間中は4日目の午前中にポスター発表を行い、それ以外の時間は口頭発表に参加したり、協賛ブースの見学やワシントンD.C.内の観光をしました。

北極域氷河の動態と質量変動について議論するワークショップが、2019年1月21-23日にノルウェーのイェイロで開催されました。国際北極科学委員会(IASC)傘下の北極域氷河研究ネットワーク(NAG)が主催するワークショップで、今年で15回目を迎えます。

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)より日本-ロシア共同研究課題の公募についてご案内を頂きましたので、ご案内いたします。

2019年2月25日追記:公募期間が延長されました。
====公募情報=====
公募案件:日本-ロシア共同研究課題募集
公募領域:北極観測および北極域における自然利用とエネルギー資源開発のための科学技術
公募期間:2019年1月21日(月)~3月18日(月)
公募目的:
本募集では、北極域でも最大面積を占めるロシアとの共同研究を通して、国際社会が直面する課題解決に貢献する研究成果を導くことを目的としています。例えば、地球温暖化対策、エネルギー安全保障、そして日本の北極政策に資する成果が期待されます。

詳細は下記のURLをご覧ください。
https://www.jst.go.jp/inter/program/announce/announce_russia_MON1st.html

※こちらから募集要項を直接ご覧いただけます。
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神戸大学極域協力研究センター(PCRC)は、2018年12月17日から18日までの2日間、国際シンポジウム「北極資源開発の持続可能性と国際法」を開催しました。PCRCは、北極における国際法政策課題を研究すべく、2015年10月に設立され、同年12月には北極国際法秩序の現状を俯瞰するシンポジウム(リンク先:英語ページ)、2016年7月には北極海における法秩序形成を論じる第2回シンポジウム(リンク先:英語ページ)、2017年12月には北極法秩序形成における非北極国/アクターの役割を論じる第3回シンポジウムを開催しました。

数値モデルの観点から研究に取り組む利点を1つあげるなら、それは現象の支配メカニズムの理解にあると思います。特に北極のような大気、海洋、海氷が共存する複雑な領域において、どのプロセスがどのように大事であるかといったことを理解するには大きな助けとなります。例えば、海洋や海氷が時間変化しない場合、北極域の低気圧はどのように振る舞うか、といったやや空想的ともいえる問いに対しても物理法則に従った答えを用意することができるわけです。しかし、それにはモデルがうまく現実の世界を再現できている必要があります。また、モデルには各モデル固有の特性があります。例えば、地表面温度が現実に比べ高めに出やすいモデルを使用すると、陸上の雪は過小に表現されます。仮に、この結果が現実的な雪の積雪量とうまく対応していても、それは偶然でしかないわけです。モデルのもつ特性を認識しつつ、モデルがうまく現実をとらえていることを確認することが、数値モデル研究の第一歩目です。しかし、北極域はデータの入手すら困難で、これらの評価を行うことが容易ではありません。数値モデルの観点から北極域を科学することの難しさは、第一歩目からあるわけです。

寒波の到来と成層圏突然昇温

北極の温暖化が進行する中で、北極海の海氷が急速に減りつつあります。我々のグループでは、北極海の海氷減少に伴う大気循環の変化を調査し、日本を含む中緯度帯でどのような気象現象が現れやすくなるかを研究しています。

その中から今年に入って出版されたばかりの論文Hoshi et al., 2019, JGR-A. 「Weak stratospheric polar vortex events modulated by the Arctic sea ice loss」 をご紹介します。

北極評議会(Arctic Council: AC)の作業部会の一つである北極圏監視評価プログラム作業部会(Arctic Monitoring and Assessment Programme: AMAP)の第32回年次会合が9月25-27日の間、スウェーデンとSaami Council(サーミ評議会)がホストを務める形で、スウェーデンのキルナで開催されました。AC正式メンバーである北極圏8カ国(カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、アメリカ合衆国)と先住民団体6団体のうち3団体(ICC(イヌイット極域評議会)、 AAC(北極圏アサバスカ評議会)サーミ評議会)に加えて、オブザーバー国6カ国(仏・独・伊・日・蘭・韓)や関係団体(EC, IASC, UNEP, UArctic, WMO)が参加しました。